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「さっきのはなしで指輪をやる気にはなれんが、他にほしいものがあるんだったらやる。」
「?」
「裏はない。コーヒーの礼だ。」
 柄にもないことをいっているのは自分でも恥ずかしい程に分かっているのだから、そう露骨に笑わないでほしいものだ。
「……オレ、廃品交換所じゃないんですけど。」
「いちいちうるさい奴だな。」
「だって……、まあいいや。本当にいいんですか?」
「ああ。」
「じゃあ……。」
 宝石類を一瞥、
「これ、もらっちゃおうかな。」
 そういって何気なく摘み上げたのは、小さいが赤紫が鮮やかなスター・サファイアだったりする。
「あ、だめでした?……それじゃ、これ。」
 と、次に示すのが少し加工が粗いが大粒のアレキサンドライトだったりする。
 こうなると苦笑するしかない。
「おまえは、本当に抜け目ない奴だな。」
「そうですよ。がめつくなくちゃ、生きていけませんから。」
 普通なら心の影にもなりかねない欲望もこのくらいあからさまに表にされると逆に気分がいい。
「ありがとう。」
「いうな。」
「そうだ。こんなに高価なものもらったんだし、もっといい夜食用意しないといけないな……。」
 ……。
「……まだ何かあるのか?」
「え?だって、泊まっていきますよね?」
「だからなぜそうなるんだ!?」


金魚の水槽

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