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談論風発
f r e e t a l k
「あなたは、本当に神出鬼没
ですね。」
「なにをしているんだ。」
「ん?ああこれ。一般常識のプリントです。」
「一般常識、だと。」
「そう。もうすぐ就職活動とかが始まるから、学校側で用意してくれるんですよね、こういうの。社会人として最低限身につけておかなければならない知識を一時的にでも詰めこみましょうという趣向らしいですけど。」
「ずいぶんとその場しのぎだな。おまえもそんなもの読んでどうするんだ。」
「別に。でもおもしろいじゃないですか。例えば……、インフレーション
とはなにか、とか、光の三原色
はなにか、とか、空気の体積の大部分を占める成分
はなにか、とか……。」
「ふん、くだらんな。」
「ちなみに、答えられます?」
「前ふたつは知らんが、みっつ目は窒素だろう。」
「へえ、よくご存知で。」
「ばかにするなよ。」
「そんなつもりはないけど、そうだな、あなたでも分かりそうなことだと、四字熟語とか。」
「四面楚歌
とか、絶体絶命
とかのことか。」
「……なにか困ってるんですか?まあいいけど、起死回生
とかね。」
「前向きな奴。」
「天下泰平
。」
「まさに『ここ』のことだな。」
「そうですね。」
「つまらん世界だ。」
「でも住人のことをいえば玉石混淆
、魔界と同じですよ。弱肉強食
の面もあるし。」
「基本は勧善懲悪
だがな。」
「意気軒昂
。これ、なんか幽助のことみたいですね。」
「そうだな。しかも直情径行
だ。」
「そう、軽挙妄動
なところはあるけど、うらやましいくらい融通無碍
で。意気軒昂でいえば、桑原くんもそうかな。」
「桑原のことを例えていうならば、傍若無人
だな。その上厚顔無恥
。」
「そんなこといいながら、呉越同舟
は『ふり』なんでしょう。」
「あいつの夜郎自大
は気に食わん。いずれ不倶戴天
になるさ。」
「そうですか。オレには相性よさそうにみえますけど。」
「それは、おまえが間に入れば円転滑脱
だからだろう。」
「彼の暴虎馮河
はあなたに通じるところがある。潤滑剤としては内憂外患
が絶えないので困りますね。」
「貴様、死にたいか。」
「さて、独立独行
。これはあなたのことですね。」
「おまえのことも書いてあるぞ。和光同塵
。」
「あれ、誉めてくれてます?」
「けなしているんだ。」
「ああそう。オレは張三李四
。今は一般人だから。」
「昔は一騎当千
の力があったんだろう。」
「謙るわけじゃないけど、ほとんど荒唐無稽
だよ。まったく悪事千里
を行っちゃいますからね。それに、千古不易
はありえない。所詮世の中は千変万化
だから。」
「盛者必衰
か。」
「因果応報
でしょう。後は行雲流水
に生きるだけですよ。」
「……ということか。」
「そういうことです。さすがに飲み込みが早いですね。」
「いや、これでは一知半解
だ。」
「……。」
金魚の水槽
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