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街を出てしばらく経った頃から、奴はどうして俺が進路を西に取る気になったのかをしきりに気にし始めたが、俺は鼻歌をうたうだけで先を歩いた。奴はカビ、ならぬ鳥肌がどうにも消えないらしく、時折両腕を寒そうに擦りながら、とぼとぼと、後ろをついて歩く足取りも重そうだった。しかし、そんなこと気にしたところで旅は続く。
「なあ。もう忘れろよ。減るもんじゃなし……。」
「鳥になる……。」
「……。」
「鳥に……。」
「……鳥肌立っても鳥にはならないから。」
いつまで続くのだろう、この旅は。
そして、この男と。振り返れば、……未だ必死こいてほっぺた拭ってるけど。
続けて来、自信空しさ(も無しさ)、旅烏。
止め処ないため息引き連れて、行けるところまで行きましょうか。
「……今日、一緒に寝ないから。」
「ああそう。」
「……今日、一緒に寝ないから。」
「そうかい。」
「……今日、一緒に寝ないから。」
「うるさいっ!分かったからもう許せよ!!!」
金魚の水槽
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