Date
2 0 0 3 - 0 3 - 0 1
No.
0 0-
霊界白書
C l a s s i f i e d D o c u m e n t
「入れ。」
「失礼します。」
「今手が離せん。茶だったらその辺置いとけ。」
「相変わらずご多忙そうですね。普通の仕事だったらよいことだといえますけど、心中お察し申し上げます。」
「……ん?」
「少しは片づけてください。書類、整理しないとまた紛失しますよ。……お茶、ここに置きますね。」
「何だおまえか……。ワシぁ忙しいんだ、帰れ帰れ。」
「済みません、昔から『帰れ。』といわれると居たくなる性質で……。ご期待に沿えず残念ですが。」
「そうか、じゃあ居てもいいから何もするな。おまえの茶坊主は高いわぃ。まったく、こう紛争が多いとたまらんな。どうやってひとりでみきれっちゅーねん。……で、今日は何の用だ?」
「本日、晴れて成人いたしたので。その報告です。」
「ほー……。報告な。おまえ、ヒマなんだな。」
「そんないいかたすることないでしょう?あなたにはお世話になっているし、だから一番に来たんですよ。」
「だから坂本竜馬のコスプレか。」
「違います。袴着てるくらいで……、他にいうことありませんか?」
「あんまり似合わんのー……、とかか?」
「内線鳴ってますよ。」
「うるさい、手が離せんとゆーとるに。放っときゃ止むだろ、放っとけ。」
「またそういうこといって……。オレ、取りますよ?」
「勝手に手を出……。」
「はい、副司令室。」
「……勝手に部屋の名前をつけるな。」
「はい……はい……、え?五十年前の戦犯リストですか?少々お待ちください。……多分この辺に。」←探すの得意
「ああ!掻き回すな!またワケが分からなくなる!!」
「あ、こちらに紛れ込んでいますね。電子ファイルになっていますが、メールで送りますか?……では早急に。はい、失礼します。……ということです、端末借ります。パスワード、変わってませんよね?」
「……。」
「何ですか?」
「おまえ。よおーう働くな。」
「?」
「まー何なら?おまえさえよけりゃー、ワシは秘書に雇ってやってもいいんだぞ?」
「ご冗談を。それだけは丁重にお断り申し上げますよ。」
「……やっぱりな。」
「あなたは、……ヒト使いが荒い。初対面からあれだけヒト使いの荒いヒト、初めてみました。」
「そういうおまえは、初対面から意見はするし批判はするし、生意気なヤツだったな……。」
「手、止まってますよ?」
「分かっとるわ!……ったくもう、ブツブツ。」
「何か手伝いましょうか?」
「いらん!おまえに援助される程霊界は困っとらん!用がそれだけならさっさと捌けろ。」
「そうですね。あなたも忙しそうだし、そろそろ御暇しましょうか。とその前に……、メール入ってますけど。」
「あ?」
「『昨日質問票を上げたA級戦犯××氏の戒名について』、問い合わせです。」
「がー、質問票返すの忘れとった!!メモ、メモに書いておいたのはー……。ない!ないぞ!」
「……調べてきましょうか?」
「おまえは余計なことするな。があチクショウ、忙しいときに限ってはまる……!」
「戒名くらい間違えても大丈夫じゃないですか。」
「莫迦、何を適当なことをいっとる、か……?」
「……。(^-^)」
「おまえー……。……知っとるな?」
「何のことですか?」
「……そういやおまえ、先週その手の資料引っ張り出して怒鳴られてたこと、あったよな?」
「またまた、憶測でモノをおっしゃいますか。……平気ですよ。例えば、『そのヒトの人生すべてを否定する』程度のことです。例えば?霊界が調べるのを怠って、誤った書類を作成して、それが噂(ゴシップ)好きな魔界全土に知れ渡っても……、オレに援助される程困っていない霊界のはなしですから。」
「……。」
「さて、帰りま……。」
「済みませんが、質問票の内容を文書にして送信しておいてください!(T_T)」
「単価高いですよ〜。」
「……くそ、足元みおって。霊界も、小生意気なガキと関わってしまったもんだな。」
「後悔してますか?」
「何が?」
「浦飯幽助に正式に引き会わせたこと。」
「……。」
「……。」
「……んなもん、後悔してどーする。まさかホンモノの妖狐蔵馬が混ざっとるとも思わんしな。」
「……そうですか。」
「……。」
「……。」
「……おまえの籍な。」
「……。」
「……狩猟リストには狩られた記録が載っていたが、生きてるか死んでるか分からなかったから、二十年前から台帳はそのままにしてある。所在不明のままな。」
「ええ、……知ってます。」
「おまえが望むなら。」
「……。」
「……例えば魔界に帰ることを望むなら。人間界での籍を抹消して、記憶等すべてを操作した上で、台帳の『所在不明』の次に、一行記述を追加してやってもいいん……。」
「あ。時間です。帰ります。」
「だぞ……?って貴様、まだワシシリアスにしゃべっとる途中だろが!(怒)」
「済みません、ホントに帰ります。実はオレも今日忙しいんですよ。これから中学の頃の友人に会うことになっていて。」
「は……?」
「退職して田舎に帰っていた恩師が来るとかで、同窓会をしようっていうはなしになって……。」
「……。」
「人間界ってイベントが多くて、面白いですね。案外フツーに楽しめている自分も面白い。え……っと。何でしたっけ?」
「……いや。」
「?」
「……何でもない。忘れろ。」
「そうですか。じゃあ、行きますね。」
「今度来るときは事前に連絡を入れろ。……って毎回いってるような気がする〜。(T_T)……ああところで。」
「はい?」
「……おまえ。母親は元気か?」
「ええ。お蔭様で。」
「そうか。」
「……。」
「……よかったな。」
「はい。(^-^)……あ、余計なことかもしれませんが。」
「ん?」
「手、止まってますよ?」
「わーっとるっつーの!くそー、有能な人手が足りんー!!」
金魚の水槽
よく考えてみたら、霊界が関知していない筈がないんですよね…。コエンマ氏も、ああみえて曲者ですからねえ。
※日付は、更新後記より。(常駐用に改作しております。)
HOME
MENU
Copyright (C) Kingyo. All rights reserved.