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No.
0 2-
笑劇の事実
F a r c i c a l N i g h t
鼻に詰め物をされた。
「大丈夫か?」
「……ああ。」
みた目があまり格好良くないため、本当は大丈夫とはいいたくないが……。
「おまえは本当に困った奴だな。寝言はいうわ突然鼻血は出すわ。世話を焼かすなよ、ガキじゃないんだから。」
などという台詞を、ガキみたいな奴にいわれたりするこの情けなさ。
「済まん……。その、色々考えることがあって、頭に血が昇ったらしい。」
とりあえずその場を取り繕うようなことを呟いておく。だが、これでは誤魔化しにもなっていないか。奴は一度まばたきをしてから俺の顔色をじっと窺う。
「……黄泉。」
「……ん?」
蔵馬は不意に首を傾げていった。
「おまえ、何か悩みがあるんじゃないのか?」
この男にしては、珍しく的を射ていると思う……。
思わず奴の顔をみると、俺のその態度を図星だと思ったのだろう、奴は神妙に、
「そうか……。それは困ったことだ。」
だがあまり興味はなさそうに、呟く。そして、
「なあ。」
「……。」
「オレでよければ相談に乗るぞ。」
「?」
「黄泉。オレにできることがあるなら、何でもいってくれ。」
……?
……!!
「何でもい……!?」
「あ。また血が。」
蔵馬。咄嗟に伸ばした手で、俺の鼻を強かに摘まむ……。
「おかしいな、もう止まったと思ったのに。」
蔵馬。不思議そうに独りごとをいう。
「あの。い、痛ひんだが……。」
「ここを押さえておけば血が止まるんだ。」
「だがな!?」
意外と乱暴である。そして表情はあくまで淡々と、
「そんなに鼻から血ばかり流していたら、死ぬぞ。」
「……鼻血で死ぬか?」
「だって、止まらないじゃないか。」
だって、本当に何でもいっていいのかっ!(っていうか何を考えてるんだ、俺っ!!)
「医者呼ぶ?」
「恥ずかしいからやめてくれ……。」
完
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金魚の水槽
「『何でも』にも限度があるんだぞ…。」と、甲にいがいっておりました。(自重しましょう。)
※日付は、弊サイトでの掲示板掲載日です。
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