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企画崩れの対談  p e a c e f u l t i m e s


 (その4)
 ドアの張り紙には『オジサンの部屋』と書いてある。

蔵馬:……。

 蔵馬は太字の油性ペンを取り出し、無言で何かを書き足している。

 ↓

 ドアの張り紙が『変なオジサンの部屋』になった!

蔵馬:ヨシ!←何が

 入室してください。

蔵馬:断る。

 ダメ。

蔵馬:(そうですよね……、まあ、分かってましたけど。)……失礼しま、わー!

 蔵馬はベッドに押し倒されている。

蔵馬:その説明要らないと思う!

 とりあえず、挨拶をしてください。

蔵馬:ええと。無理です!
オジサン:大丈夫。無理なことない。くーちゃん、やればできるコだから?
蔵馬:とりあえずどけ。
オジサン:うーん、無理。
蔵馬:唾吐きかけるぞ……?
オジサン:あ、オジサン、そういうプレイも大好き♪
蔵馬:……。
オジサン:……またそういう目する。。冗談通じないかな……。
蔵馬:なぜベッドが在る?
オジサン:内装はお任せだっていわれた☆
蔵馬:☆がうざい。
オジサン:ほら!くらまのだいすきなキングサイズだよ〜?
蔵馬:うれしくない。フツーにテーブルと椅子でいいだろう……?みんなそうしているんだし。
オジサン:あ、でも。お隣さんもベッド、用意してたよ?
蔵馬:え。おとなりさん、って……?

(ザ・お隣さん)
妖狐:ねむい。ダルい。おなかすいた。お酒はぬるめの燗がいい。肴はホッケがいいと思う。

蔵馬:。。。。。←恥ずかしい
オジサン:何の因果が、隣の部屋も蔵馬みたいだし。油断して「おねむ」になっているところをいい感じに襲ってやろうかなー、とか思ったりもしたけど。オジサン的には秀クンほうが楽しめそうだから、じっくり腰を据えて、待ってみた。
蔵馬:あまりいい趣味とはいえんな。
オジサン:うん。俺もそう思う。
蔵馬:……。
オジサン:まあ、こんな格好ではなしをするのも何だから。もう少し堅苦しい感じに座り直そうか。ね?
蔵馬:(ツッコまないぞ。)

 改めまして、挨拶をしてください。

蔵馬:……。
オジサン:ほら。挨拶は?
蔵馬:……どうも。
オジサン:秀クン、痩せた?
蔵馬:秀クンって呼ぶなよ。
オジサン:いいじゃないか。俺としては、キミを「くらま」と呼ぶほうが変な感じだ。
蔵馬:……。
オジサン:また難しい顔して黙りこくる……。対談なんじゃないのかー?もう少し愛想よくできないか?
蔵馬:無理です。
オジサン:またそういうこという。
蔵馬:……。
オジサン:はあ。……まあいいか。蔵馬が我侭いって甘えてくるのは今に始まったことじゃないし。
蔵馬:!甘えてないだろう!
オジサン:はいはい、そういってなさいよ。みるヒトがみれば分かるんだから。
蔵馬:……。
オジサン:さて、と。……いいのか、職場放棄で?
蔵馬:……。
オジサン:困ったコだ。じゃあ、勝手に進めるよ?ええと、ナレーションのシナリオは、と。
蔵馬:?

 オジサンはナレーションを書き換えている。

 ↓

 蔵馬はセーラー服に着替えた!

蔵馬:わー!
オジサン:やる気になった?
蔵馬:(無茶苦茶だっ。)
オジサン:まあ、実際は着替えてないんだけどね〜☆余興余興。
蔵馬:おまえ、遊んでるだろ。
オジサン:自慢じゃないが、半分以上はそのために来た。
蔵馬:本当に自慢じゃないし……。
オジサン:元気そうだね?
蔵馬:え……?
オジサン:←にこにこしながら眺めている。
蔵馬:……ええ、まあ。
オジサン:それは何よりだ。
蔵馬:おまえは。
オジサン:え。俺はいつも元気だよ?
蔵馬:そうじゃなくて。
オジサン:ん?
蔵馬:何をしていた?今の今まで。
オジサン:何だ、いきなり核心か?
蔵馬:核心かどうかは知りませんけど。
オジサン:長いことご無沙汰だったから、拗ねているのかな?
蔵馬:蹴り殺されたくなかったら、概ねその通りで結構です☆
オジサン:あ。☆がコワイ。。。……そうだな。真面目に答えると、諸外国を飛び回り、美術品などを買っては売り、買っては売りーしながら、稼いだお金でバカンスを楽しんだり、してました。
蔵馬:ふうん……。
オジサン:そのバカンスに秀クンを誘わなかったのはー……。
蔵馬:他にオンナが居たから……?
オジサン:あー……んとね??……まあ、正直いうと居たことは居たけどね。
蔵馬:へえ。
オジサン:だが、その点については俺にだっていい分はある。その頃、秀クン、コッチ(人間界)に居なかったじゃない?オジサン、寂し過ぎて死んじゃうかと思ったよ。
蔵馬:だから死んじゃえよ。
オジサン:それ、持ちネタ?
蔵馬:ネタとかいうな。。。
オジサン:秀クンは?
蔵馬:は?
オジサン:昔の男のところに居たんだろう?
蔵馬:昔の男とかいうなよ……。
オジサン:じゃあ、現在進行形?
蔵馬:現在進行形っていうか……──って。。なぜオレは「男」のはなしになるんだっ。
オジサン:だって秀クン、オンナっ気ないから。
蔵馬:うん、確かに。
オジサン:(認めちゃったよ……。)で、今は他に彼氏が居るんだ?
蔵馬:だから彼氏じゃない──って。……おい。
オジサン:ん?
蔵馬:おまえがなぜ先の会話の内容を知っている……?
オジサン:『Kの水槽』の読者だから。
蔵馬:ああ、この拳が勝手に隣の男の鳩尾をえぐり上げようとしているかもしれない……!
オジサン:ごめんなさい。ゆるしてください。たまたま廊下を歩いていたら、壁の向こうからそんな会話が漏れきこえてきただけです。
蔵馬:まったく……。
オジサン:で。彼氏も来てるんだろう、ココに。
蔵馬:ええ。……じゃなくて、彼氏じゃないから!
オジサン:ああ、そんなに必死に否定しなくても大丈夫。オジサン、ライバルが居たほうが燃えるタイプだから♪
蔵馬:真面目なはなしだ。そういう風に呼ばれたら、向こうにとっても失礼だろう。ただでさえ迷惑かけ通しで、オレのほうも少しは自重しなければと思っているところなんだ──
オジサン:ふうん。←意味あり気に眺めている。
蔵馬:……何?
オジサン:……いや。
蔵馬:何だよ。
オジサン:ふふ。いえ、ね。秀クン、そのヒトのこと、本当に大切に思っているんだな、と思って、ね。
蔵馬:……。
オジサン:妬けちゃうな?
蔵馬:……大切じゃない友人なんて居ないだろう?
オジサン:うん。そうだね。……ねえ、秀くん。
蔵馬:何。
オジサン:今、幸せ?
蔵馬:……。
オジサン:……。
蔵馬:これまで生きてきたどの時代よりも、今が一番、幸せです。
オジサン:じゃあ、俺はもう必要ないか……。
蔵馬:え……。
オジサン:俺はもう、キミの前には現れないよ。……それで、いいね?
蔵馬:……。
オジサン:……。
蔵馬:……オレは──
オジサン:なんて、ウ・ソ♪
蔵馬:(無言で殴りかかる☆)
オジサン:おっと、危ない。相変わらず手癖の悪いコだな。……まあ、俺がそういう風に育てたんだけど。
蔵馬:今すぐ消えろっ。
オジサン:こらこら。そんなイリュージョンみたいな真似、出来る訳ないだろう?……さて。そろそろいい頃合かな。(と立ち上がる。)
蔵馬:は??
オジサン:挨拶。
蔵馬:?
オジサン:ほら?キミの大切なヒトも来ていることだし。ここはひとつ、俺のライバルたるその彼氏とやらに、宣戦布告の挨拶をしに行かなければ……。
蔵馬:え。。。
オジサン:コッチの部屋でよかったかな〜?(と、隣室と当室を隔てるドアに手をかける。)
蔵馬:わー、莫迦、ソッチは違う!!

※※※

『海藤 優』の部屋:がらんどー。

蔵馬:(部屋がしゃべった!) ※気のせいです
オジサン:おや?誰も居ないねえ?
蔵馬:あ。そういえば……。

 (こってりしてもいられないでしょ。)

蔵馬:(よかった。流石にこの男に会わせる訳には……。)

 と、唐突にトイレの流水音。
 の後に、ドアが開く音が……。

海藤:あ。
蔵馬:あ。
オジサン:カレシ?
蔵馬:チ、チガイマス。
海藤:(片言?)
蔵馬:……帰ったんじゃ、なかったんですね。
海藤:ああ。何か。急に腹の調子がおかしくなって……。(ストッパ持ってなかったからもう大変。)
蔵馬:(いいのかな、伏せ字にしなくて……。) ※バ○ァリン、ストッ○
オジサン:ああ、秀クンのオトモダチか。じゃあ、一応挨拶しておこうかな?
蔵馬:しなくていいです!
オジサン:こら、いけないコ。オトモダチの前で失礼だろう?
蔵馬:頭の上に手を乗せるなっ。
オジサン:初めまして。ボクは蔵馬とは××な関係の白・昼夢という者です。(と右手を差し出す。)
蔵馬:(伏せ字!)
海藤:はあ、どうも。(東アジア系のヒト?)←握手
オジサン:あ、間違えた。蔵馬とは「師匠と弟子のような関係」の、白昼夢といいます。
蔵馬:(うん、合っている。)
オジサン:(うん、合っている。)
蔵馬:?……って、何でさっきは伏せ字にしたんだ!?(上段回し蹴り。)
オジサン:こらこら。ニンゲンのオトモダチの前で、本性をさらけ出すのはよくないと思うぞ?
海藤:ああ!(と納得の表情。)
蔵馬:何!?
海藤:お店のオーナーのヒト??
蔵馬:だからお店じゃないって。。。

続く ...

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